バフェット氏の動向(2024年9月末時点)
2025年1月9日
新年になると様々な株価予想がニュースになります。暴落近しとするものも多いのですが、その中の一つに根拠としてバフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイ社(BH社)が、株式を売却し流動比率を高めているというものがありました。
アメリカの株価は高すぎる、と数年前より言われていますが、なおも上がり続けています。その背景にはリーマンショック後の大幅金融緩和政策の後遺症による金余り状態があり、あらゆる資産の価格が上昇しています。ちょうど1980年代後半の日本のバブル経済に似た状況です。インフレもひどく国民生活に悪影響を与えているので、2022年よりFRBは金利を引き上げましたが、過剰な金融引き締めが経済をどん底に突き落とした日本の事例を熟知しているので、資産価格にダメージを与えるほどの利上げができません。金利引き上げを開始した2022年こそアメリカの株価は下落しましたが、2023年からは再び上昇を始め、2024年に入ると過去最高値を更新し続けています。
それではアメリカの株式市場の加熱具合はどの程度であるのか。有名なバフェット指数をみてみましょう。
バフェット指数とは、その国の株式時価総額を名目GDPで割った値のことです。世界を代表する投資家であるウォーレン・バフェット氏が株式市場全体の割高度をみるために参考にしているとされる指標で、100%を超えていれば割高と判断されます。(くわしくは2024年3月の記事)
その直近(1月7日)の値をLongtermtrends社のサイトで調べてみると、201.93%!!
100%どころかその倍。相当な加熱状況です。
同社のサイトでは1970年以降の推移を掲載しています。それによれば、リーマンショック以前に100%を超えていたのは、2000年のITバブル時と2007年のリーマンショック直前の2回だけです。しかし、2013年頃に100%を突破してからはほぼ右肩上がりに上昇を続けています。
当のバフェット氏はこの状況を見てどのような投資行動に出ているのか。
昨年3月にこのテーマで記事を書いた時のバフェット指標は 184.5%。これに対してBH社の資産(2023年12月決算)をみると、特に安全資産への待避の動きはみられないと紹介しました。
今回、BH社の2024年9月末決算を調べたところ、大きな動きがありました。
2023年12月末対比で
・株式投資は 822億ドル減少(23%減)
・米国債短期投資は 1,584億ドル増加(122%増)
と、明らかに株式から安全資産へと資金をシフトさせています。
昨年、BH社が大量保有するアップルの株式の半分を売却したことが話題となりましたが、売却したのちに他の株式へ再投資するのではなく、米国債に替えています。BH社としては、株価大幅下落の可能性は高いとして、その際に安く買い集めるために手元資金を厚くするという意図だと思われます。
高くなりすぎたアメリカの株価が下げるのはやむを得ないことだと思います。しかし困るのは、米国株が不調だと日本の株価に悪影響を与えるということです。トランプ新大統領による経済政策も世界経済の波乱要因となりそうで、今年一年楽観視できません。