2025年度中間決算

2025年12月2日

はや師走を迎えました。
例年同じことを言っているような気もしますが、今年も色々な出来事がありました。
3月トランプ関税ショックによる世界的な株価急落、その後の各国のトランプ詣でと株価の回復、10月高市政権誕生に伴う株価急上昇、と上下動激しく動きました。
株式市場以外では、ゴールド価格の急騰、日本国債金利の上昇、為替レート(米ドル/円)の円安傾向、とインフレ時代の本格到来を感じさせる動きを見せています。

大きく揺れる金融市場に対し、企業業績はどのような具合であったのか?
2025年度中間決算がそろったところで、長期安定成長企業として抽出した41銘柄の業績をみてみます。

中間決算状況

こちらの表が長期安定成長企業 41社の中間決算※の対前年同期比、および本決算見込みの修正状況です。
※10~12月決算企業は第3四半期決算、6月~9月決算企業は本決算

※竹内製作所は、下方修正のあと上方修正(ネットでは下方修正)
※2025年6月本決算データに基づき、構造計画研究所ホールディングの安定成長スコアを更新

この表から読み取れる特徴としては

・ 売上高に関しては 78%の企業が増収を達成するも、当期利益の増益は 51%とほぼ半数にすぎない
トランプ関税政策を踏まえて保守的な決算見通しを出した企業が多いと聞くが、半年たっても決算見込みを上方修正したのは4社にすぎない(下方修正は7社)

減益・下方修正の理由

10%以上の減益および通期見通し下方修正の企業について、会社公表の理由を調べてみました。

減益・下方修正となった理由は、企業ごとに様々です。
クミアイ化学工業のように個社のビジネス要因によるものもあれば、竹内製作所のようにマクロな経済環境要因によるものもあります。
マクロな経済環境要因としては、トランプ関税に加え、インフレや人手不足によるコスト増を挙げている企業が目立ちます。

業績と株価動向

それでは中間決算の業績は、株価にどのような影響を与えているのでしょうか?
今年5月末と直近11月末の株価を比較してみました。

この間、TOPIXが20.6%上昇と日本株は全体的に好調でした。
TOPIXを上回る上昇をみせたのは、リケンテクノスやフォーカスシステムズのように大幅増益となった企業、あるいは東テクやドウシシャのように通期見込の上方修正を発表した企業でした。
一方で日本株の好調にもかかわらず株価を下げたのは三社 ― 学情、クミアイ化学、ニチリンです。共通点は減益および通期見込の下方修正で、市場の厳しい評価を受ける形となりました。
総じて、業績と株価は連動しているといえます。

所感

企業はリスクを負ってビジネスを営んでいるので、時にリスクが顕在化することにより減益となることはやむを得ないことです。しかし、企業によっては減益・下方修正になった理由が不明瞭なケースもみられました。業績が悪化した場合にその理由を端的に明らかにすること、さらには具体的な対応方針や改善策を明示することが、投資家からの信頼を維持するうえで不可欠です。これらを明示できない企業は、開示姿勢が不十分という以前に、そもそも社内的に適切なリスク管理ができていないがゆえに開示もできないのではと疑ってしまいます。残念ながら私が投資している先も含まれていたので、今後の売却を検討しています。

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