株価は暴落するのか
2025年1月8日
年が明けて1月6日の大発会、日経平均はいきなり 587.49円下げたと思いきや、翌7日には 776.25円上昇で、4万円を回復しました。
まだしばらく方向感がないまま推移しそうです。
さて昨年より、日経平均は 3,000円まで暴落する、と主張して話題になっている経済評論家がいます。今の4万円から 92.5%下落するという話なので荒唐無稽とも思えますが、世に絶対はありません。例えば、台湾有事が発生して日本にもミサイルが撃ち込まれるようになる、といった事態が発生すれば実現するかもしれません。
ちなみにウクライナの株価(S&P ウクライナ総合指数)は、ロシア侵攻前の2022年2月17日に 75.52、侵攻後は当然に暴落しその後も下がり続け 2024年3月28日に 17.19へと77.2%下落しました。その後はなぜか持ち直し、直近2025年1月7日は 31.27をつけています。大国の非道な暴力に立ち向かうウクライナの人々には頭が下がるばかりですが、あの悲惨な状況においても株価を9割以上下落させるインパクトにはなっていません。
それよりもさらに強烈な衝撃として、どこぞの国に強力なコンピュータウイルスをまき散らされ、日本の金融・証券取引システムが1か月停止したらどうなるか。過去に前例のない危機のため影響度はよめませんが、株価を90%下落させるには十分だと思います。
いずれにしても株価を90%下落させるような内憂外患が生じた場合に日本経済はどうなっているのか。経済機能のほとんどが喪失して、第1次世界大戦直後のドイツ、第2次世界大戦直後の日本のようなハイパーインフレーション状態となるでしょう。もし経済危機にも関わらずハイパーインフレになっていないならば、貨幣を発行する政府がまだ信任されているということです。そうであれば政府は、リーマンショック後に実施したように大幅な金融緩和策など株価回復の政策をとるはずです。政府が信用を失ってハイパーインフレーションが発生した場合、株を売って、円預金や日本国債に替えていたとしてもほぼ無価値になります。終戦直後の日本を想定するならば、資産をゴールドに替えるか、資源国へ移住するか、といったことまでやらないと対策になりません。
その評論家は、新NISAは全部やめろとも主張しています。一つの(しかも発生確率の低い)経済シナリオに全資産を賭けるのは無謀の極みです。彼の主張を真に受けている人はほとんどいないと思いますが、もし信じて新NISAを解約した人がいたとして、シナリオが外れた場合にはその人の将来設計は大きく狂います。公に評論を出す以上、その言動には責任を持ってもらいたいものです。(私は、とある銘柄を友人に勧めて買ってもらった直後にその企業の業績が悪化し株価が大幅下落してしまったことを、いまでも深く反省しています)
ここでいつもの主張になりますが、株価が 90%下落するような事態が絶対に発生しないといっているわけではありません。しかし、発生しない可能性も十分に高いことは忘れていけません。将来起こりうる様々な事態とその発生確率を勘案したうえで、どの事態も想定外にしない資産運用戦略を構築するのが、リスク管理の基本となります。ちなみに私は、日本経済の復活を信じ総資産の50%以上を日本株式やREITなどに投資しています(新NISAももちろんフル活用です)が、駄目になる可能性も考慮して約25%は外貨資産、10%弱はゴールドで保有しています。