株価動向(2024年12月)
2025年1月
新年になりました。
2025年相場予測でも書きたいのですが、まずはこれまでの相場の振り返りをします。
昨年より私が注目しているのは、① 数か月~2年周期の中期的な波動と、② 2012年末より続く上昇トレンドが変化するのか、の2点です。
こちらが以前紹介した日経平均とその24か月移動平均のグラフ(を12月末まで追加したもの)です。赤線の日経平均24か月移動平均が示す通り、2012年12月以降は一貫して上昇トレンドにあります。一方で青線が示す通り、実際の日経平均は移動平均から上方に乖離したり、戻ったり、と中期的な波動を繰り返しています。(詳しくは、以前の記事)
それでは直近はどのような状況にあるのか。2024年8月の値動きをどのようにとらえるかで解釈が変わってきます。
少しおさらいしますと、2024年8月5日に日経平均は過去最大となる4,451.28円(▲12.4%)の下落を記録しました。実はその数日前から値下げは始まっており、7月31日からの3営業日で 19.5%下落しています。しかし戻りも早く、8月16日には暴落前と同水準の3万8千円台まで回復しています。ここまで激しく上下動したのは、投機筋の仕掛けによるものと推測されます。8月5日の段階では、暴落の要因としてアメリカ経済の先行き不安や急速な円高に対する不安など経済的なものも挙げられていましたが、そうであれば10日で急回復はしないので、それほど大きな要因ではなかったのでしょう。またこの暴落をバブル崩壊の始まりと主張する論者もいますが、グラフを見る限りは移動平均から大きく上方に乖離していた(=少々過熱していた)株価水準がもとに戻っただけと考えられます。移動平均を突き抜けて下方に大きく乖離しないとバブル崩壊とはいえないでしょう。
このグラフの期間を直近2年間にしぼってみましょう。
2023年2月には、日経平均、移動平均共に2万7千円台の水準にありました。その後、日経平均はコロナショック明けの回復もあり2024年3月には4万円を突破するまで上昇しています。その後日経平均は8月の暴落時を除けば4万円の手前で横ばいに推移しています。一方の移動平均はゆっくり上昇しており、2024年12月末でも3万5千円に到達しておらず両者の乖離幅は 15.5%と高い水準にあります。
2024年初めには新NISA開始等の要因で盛り上がった相場ですが、2024年3月にピークをうち停滞期に入りました。それでは8月の暴落により調整は完了し、上昇期が始まっているのか、いまだ停滞期なのか。この論点は2024年10月にも記事にしましたが、いまだどちらの見方が正しいか結論を出せていません。
いまはまだ停滞期とみるならばこの差が縮まるまで、株価は停滞するか、移動平均水準まで再び下落をします。すでに上昇期に入っていいるとみるならば、もう少し株価は上がっていきますが移動平均が追いついてくるまで上がり幅は限定的でしょう。
● 移動平均と企業業績
以上の議論において、株価が移動平均を中心に上下動するとの前提を置いていました。この移動平均の動きを決めるのが企業業績である、と私は考えます。少なくともこの12年間における移動平均と企業業績は非常に高い連動性を見せています(詳しくは、2024年10月の記事)。この考えが正しいとして、今年の株価動向をみるうえで重要となるのが2025年3月期決算です。
ところでこの12年間の企業業績は、金融緩和政策や円安トレンドに支えられてきました。しかし、ちょうど干支が一回りしたところで、それらの弊害が目立つようなってきています。日銀は金融政策見直しを表明していますし、円安による物価高騰は最近の大きなニュースとなっています。また少子高齢化が進む中で、人手不足も話題になっています。このような経済や社会の動向が企業業績にどのような影響を与えるのか、またこの流れに乗って業績を伸ばす業種・企業はどこであるか、といった見極めが今後重要になると考えています。