TOPIXの波動分析

これまで2012年12月以降の日本株式市場における相場変動をみるために、日経平均を用いた波動分析を行ってきました(相場の波を生み出す力など)。
しかし先日記事にした通り、ここ最近の相場を見るに、日経平均は日本の株式市場全体の動向を示す指数としてはふさわしくないと考えるようになりました。

そこで指数をTOPIXに代えて同様の分析をおこなってみました。

指数をTOPIXに代えたものの、TOPIXと日経平均の相関は高いので、株価の波動は似たような動きをしています。
ただし、ピークとボトムの時期が多少ずれているといった相違点もあります。

波動の特徴として、上昇期における株価上昇率が5割前後(44~52%)ということが挙げられます。
また、これまでの上昇期の期間は、13~18か月です。

今(2025年11月末)は、上昇期⑪にあるといえます。もしこれまでの波動パターンが今回も当てはまるとすれば、

TOPIXは、2026年4月から9月までに3,840~4,050ポイントに上昇する」ということなります。

もちろんこれまでの波動パターンに従うとは限らないことに留意です。

●おまけ

上記のグラフをみると、今回の上昇期⑪の上昇スピードはこれまでよりも急で、相場が過熱気味のように感じられます。しかし、それは通常のグラフの縦軸の大きさは「上昇幅」であって「上昇率」ではないことからくる錯覚です。
例えば、今回の上昇期⑪(2,677,29 → 3,378.44)ではすでに700ポイントを超える上昇幅で、上昇期⑤(1,245.82 → 1,836.71)の上昇幅約 600ポイントを上回っています。ところが上昇率でみると、上昇期⑪の 26.7%であるのに対し、上昇期⑤では 47.4%と大きさは逆転します。上昇期開始時点の株価水準が2倍以上差があるため、グラフの縦軸の大きさの意味も2倍以上異なっているわけです。

この錯覚をなくす工夫の一つが、対数目盛の使用です。数学的な説明は省きますが、対数目盛では縦軸の大きさは「上昇率」を示します。
実際に上記のグラフを対数目盛にしたのが以下のグラフです。

いかがでしょうか。
直近上昇期⑪の傾きが、他の上昇期と同じ程度になっています。これは直近の株価の上昇スピードが、これまでと比べて特別に速いわけではないことを示します。

グラフは複数のデータの特徴を視覚的に表現するものです。そしてここで示した通り、グラフの操作によって視覚的な印象はかなり変わってきます。
したがって、グラフを用いた分析を行う際には、そのグラフが自分の知りたいことをなるべく正確に表現したものであるか検証する必要があります。

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