208A 構造計画研究所ホールディングス
※同社は2024年7月1日に「4748 構造計画研究所」から持ち株会社に移行。データは移行前後を連続的に扱う。
※他銘柄情報(2025年スクリーニング結果)はコチラ
長期業績グラフ・安定成長スコア

※長期業績グラフおよび安定成長スコアの詳しい説明はコチラ
主要指標
株価 | ¥2,512 | 2025/06/13 |
実績 | 会社予想 | |
配当利回り | 3.18% | 3.18% |
PER | 13.79倍 | 14.17倍 |
CN-PER(※) | 13.86倍 | 14.25倍 |
自己資本比率 | 50.8% | |
NC比率(※) | -0.5% |
※NC比率:ネットキャッシュ比率
※PER、CN-PER、NC比率の解説はコチラ
企業概要
企業IRページ(https://www.kke-hd.co.jp/ir/)より
(同社は2024年7月1日に持株会社に移行しましたが移行後の本決算は行っておらず、以下の内容は移行前のIR資料に基づきます)
① セグメント別業績
同社の事業は、「エンジニアリングコンサルティング」と「プロダクツサービス」で構成されます。
(1) エンジニアリングコンサルティング:構造設計・構造解析、環境評価・防災、住宅・建築分野のシステム開発、意思決定支援、情報通信技術
(2) プロダクツサービス:解析関係のプロダクツ(自社開発もあり)の販売。パッケージ販売型とクラウドサービス提供型がある
売上高 | (百万円) | |||||
2023.6 | 2024.6 | 2025.6 | ||||
実績 | 実績 | 前期比 | 構成比 | 予想 | 前期比 | |
エンジニアリングコンサルティング | 10,714 | 11,419 | 6.6% | 63.6% | - | - |
プロダクツ サービス | 5,866 | 6,522 | 11.2% | 36.4% | - | - |
合計 | 16,580 | 17,942 | 8.2% | 100% | 19,500 | 8.7% |
営業利益 | (百万円) | |||||
2023.6 | 2024.6 | 2025.6 | ||||
実績 | 実績 | 前期比 | 構成比 | 予想 | 前期比 | |
エンジニアリングコンサルティング | 4,132 | 4,682 | 13.3% | 63.6% | - | - |
プロダクツ サービス | 1,057 | 1,082 | 2.4% | 36.4% | - | - |
合計 | 2,189 | 2,372 | 8.3% | 100% | 2,550 | 7.5% |
②中長期的方針
経営指標
総付加価値 = 営業利益 + 人件費 + 福利厚生費
← 当社グループの持続的な発展には、より良い人才が集い、成長していくことが重要
(※筆者注:人件費、福利厚生費はコストではなく、人才確保のための投資)
…中長期的に総付加価値 5%~7%の年間成長を経営目標とする
株主還元方針
配当性向 … 50%目安
株主資本配当率 … 8%目安
ガバナンス体制の強化
2019年9月 指名委員会等設置会社の導入
ガバナンスと執行の分離
21世紀半ば:創業100年に輝く知識集約型企業組織とは
• 企業統治がしっかりしている
• 多様な業務へ対応した組織・グループ
• 慮りのある人が集い、人々がそれぞれの人生を活躍できる場
• 工学知と情報技術を活用、導入支援する企業としては
– 独立性
– 多様性
– 機動性
– 透明性
③ 企業理念
当グループが社会と共に目指す未来像・方向性(Thought)
Innovating for a Wise Future
構造計画研究所グループは、
工学知をベースにした有益な技術を社会に普及させることで、
より賢慮にみちた未来社会をステークホルダーの皆様と共に創出していきたいと考えています。
グループ理念
構造計画研究所グループは、
大学、研究機関と実業界をブリッジするデザイン&エンジニアリング企業組織体として、
社会のあらゆる問題を解決し、「次世代の社会構築・制度設計」の促進に貢献します。
当グループが目指すありたい姿(ミッション)
Professional Design & Engineering Firm
学問知と経験知による知の循環から生み出される、
工学的手法に立脚したユニークな解決策(ソリューション)を提供することによって高付加価値を実現する組織
④ トップメッセージ
2024年7月1日に株式会社構造計画研究所ホールディングスが持株会社として誕生しました。
68年前、昭和31年6月に日本初の構造設計専業の設計事務所として服部正が創業し、3年後株式会社として設立された構造計画研究所は、21世紀に入り、システムインテグレーターから脱却し、顧客に真に高い付加価値サービスを提供できる技術コンサルティングファームに変貌しました。
東京工業大学建築学科からスピンオフした創業者は、産学連携による工学知と20世紀後半から急展開した情報技術を組み合わせて、顧客の相談相手たる技術の「総合医」となることを夢見ておりました。そして今、知識集約型技術コンサルティングビジネスを中核としつつも、クラウドビジネスの急成長が進んでいます。
これを実現するのは多様な人才です。現在ではキャリア入社が2割、外国籍所員が8%となりました。女性も3割を占め、管理職、技術専門職として活躍しております。
やみくもに規模の拡大や利益拡大、株価の高騰を目指すのではなく、所員が自らの人生に生きがいを感じ、ジェンダーや国籍を超えた個の想いを尊重する経営を続けます。熊本のPARA-SOL社および東京のKKEスマイルサポート社は、多様な働き方を提供する場です。
また、ガバナンス体制としては指名委員会等設置会社を導入しております。
産業界の皆様やアカデミアの方々とのオープンイノベーションを深め、当社グループの自律性と独立性を堅持しつつ、更なる海外パートナーとの出会いを模索します。
社長挨拶より
構造設計業務という安心・安全の原点から、今後は、環境問題や温暖化対策、東京一極集中課題、少子化対策など山積みの社会課題にも挑戦します。
分析
●長期業績推移
売上高は、2000年の上場以来2018年6月期まで80~110億円のレンジで波打っていました。しかしその後は増収基調に入り、2024年6月期の売り上げ予想は 195億円となっています。
営業利益・当期利益ともに売上高と同様の動きです。ただし売上高平均成長率 2.5%に対し、営業利益平均成長率:6.2%、当期利益平均成長率:9.7%と、利益が売上を上回る成長をみせており、これは売上高利益率(採算性)の改善を意味しています。
このような業績を反映し、安定成長スコアは9点と高評価です。
●主要指標(会社予測)
配当利回り:3.18%、PER 14.17倍、CN-PER 14.25倍とやや高利回り、割安な水準にあります。自己資本比率:50.8%、ネットキャッシュ比率 ▲2.1%と、財務健全性は良くも悪くもなく通常の水準です。
●その他の視点
実は昨年、同社に対して「良くも悪くも技術者集団で(中略)悪い点は彼らの専門性を具体的にどのようにして将来の企業成長に結びつけるのか、(IR資料では)見通すことができません」とコメントしました。ところが、私の声が届いたわけではないでしょうが、直近の決算説明会資料ではこの点がかなり改善されました。具体的には、同社の強みたる人才専門性と事業成長を融合した経営指標(=総付加価値)の設定、過去の失敗を踏まえたガバナンス体制の強化、等々です。今後も知識集約型企業としての強みを確保しながら成長することを期待します。
一つ難点は、同社の将来性・割安性に市場が気付いたためか、この一年間で株価は 24%上昇(24/5末: 2,052.5円 → 25/5末:2,520円)とTOPIXの10%上昇を大きく上回るパフォーマンスでした。その結果、配当利回り:3.18%、PER:14.17倍と割安度がだいぶ薄れています。
※当記事は投資の推奨を目的としたものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。
※データの一部は手作成・手入力のため、誤りがある可能性についてお含みおきください。