カワチ薬品 株主総会メモ

前書き
株式投資にあたり、これまでは財務分析を中心に銘柄選定を行ってきました。しかし最近、財務データはあくまで企業活動の結果であり、企業の持続的な強さの要因となるのは経営理念や社風といった企業文化ではないかと考えるようになりました。とはいえ定性的な企業文化を評価するための情報収集は難しいのですが、株主総会に出席し、社長をはじめ経営陣の生の声を聴くのはその貴重な機会になると感じています。よって、今年から株主総会には積極的に参加することで、企業文化とはなにか、その評価のためにはどのような視点をもつべきかを研究するための情報収集をするつもりです。
ただし、個人的なメモ書きであり正確性は保証できないこと、特定の投資判断を推奨するものではないことをご承知ください。

2026年6月11日

カワチ薬品は栃木県小山市に本社をおくドラッグストアチェーンです。
わが家の近所に店舗があり、買い物優待券を獲得するために投資をしています。

今回、直接株主総会に参加しようと思い立ったのは、取締役2名(河内社長、渡辺社外取締役)の解任を求める株主提案議案があったからです。
いったいどのような株主が提案を出したのか、どのように総会は議事進行されるのか興味がわきました。

会場である小山グランドホテルは、小山駅から徒歩30分、バスもちょうどよい便がなかったので駅前の観光案内所で自転車をレンタルしました。

10分余りで会場に到着しました。ほとんどの株主は車で来訪しているようです。

【株主総会メモ書き】

(1)(失礼ながら)地方都市で交通の便もよくない会場にもかかわらず意外に多くの株主が出席

(2) 株主議案を提案したのは、カナメキャピタルという米系の投資ファンド。日本でガバナンス改革が進む中で中小型上場企業を割安とみて投資対象とするファンドのようです。
今回いきなり取締役解任提案をしたのは、経営陣の経営手腕に対する不満から。

以下提案理由、
①長期にわたる業績不振と株価の著しい低迷
②河内氏に対する過大な役員報酬
③関連当事者取引の適正性に対する疑義
④渡辺氏の監督責任の懈怠

要約すれば、河内氏が社長に就任した2002年に同社は業界2位であったが今や業界10位以下に転落、株価も低迷しPBR1倍割れが長年続いている。にもかかわらず役員報酬は巨額。
渡辺氏については、少数株主の代弁者となるべき社外取締役の立場に約10年いるにもかかわらず上記事態を是正できていない、との理由。

(3) PBR1倍割れ解消の施策として社長が説明したのは、
 ・資産に土地が多いのが一因のため借地への転換をはかる
 ・店舗の適正配置
 ・大型店にテナント誘致
 ・物流機能の改善
 ・株主還元策として、累進配当へ変更

(4) 業界順位下げの要因に関する社長の見解は、
 ・他社は大量出店大量閉店の方針をとっているが、同社はスクラップをあまりしない。よって出店に慎重になっているところがあり、スピードが遅いことは課題認識している。
 ・インバウンド需要への高まりについては、同社出店地域はインバウンド需要の恩恵が少ない

(5) カナメキャピタルが同社に提出した100ページ余りのレポートをどのように受け止めているかという質問に対し、スピードをいかに上げていくかが課題と捉えているとの回答。

(6) 優秀な取締役や社員が辞めていく理由に問われたのに対して、「辞めた方がいる場合には、誰が代わりをできるかを調査する」との答えになっていない回答
 30~40代の退職者数を問われたのに対し、「(数値の根拠をだすことなく)退職率は低いとの認識」との回答

(7) 後継者候補はいるのかとの質問に対し、社員にはあいさつなど日々の業務を励行するように指導しており、その中で人は成長してくるとの回答。特に社長を退任する意向もないとの回答。

(8) 2年前に就任した大谷社外監査役へ現状に対する見解を問われたのに対し、同氏からは、監査役として現経営陣に問題のないことは確認していると釘をさしたうえで、「カナメキャピタルからのレポートについては経営陣として課題認識をしているが一気に解決できないので一つずつ取り組む」「経営のスピードアップ、在庫回転率上昇、採算重視の投資実行が課題」と歯切れのよい回答。

(9) 出店方針や競合に対する既存店の対抗策を問われたのに対し、ドミナントエリアの強化との回答。

(10) M&Aを検討しているのかとの質問に対し、スケールメリットを求めるのではなく、同社の重視する顧客からの信頼という理念にあう相手ならば検討可能との回答。

(11) カナメキャピタルからの質問に対し曖昧な回答をしたり、議事進行を強行しようとするたび野次が飛び出す、なかなかに騒然とした総会でした。

【所感】
・一言で言えば、北関東を地盤とする地方ドラッグストアがいきなりグローバル投資家の洗礼を浴びた総会でした。
・カナメキャピタルからの質問に対し、社長が受け流すにしても否定するにしてもまともな回答をできていないことが多く、確かにこれでは業績が伸び悩むわけだと合点しました(下記グラフ参照)。一方で大谷監査役の回答の歯切れの良さが際立っており、どちらが社長なのやらとの印象です。
・カナメキャピタルは、表面的な業界調査や財務データだけではなく、各役員のプロフィールや社内事情などをよく調べており、さすがは外資系投資ファンドと感心しました。そのようなファンドが巨額の資金を投入しているので、同社のビジネスモデル自体には期待を持っているのでしょう。今後の業務改善と株価上昇に期待です。

※繰り返しですが、本記事は録音禁止の株主総会のメモ書きであり正確性を保証できませんし、特定の投資判断を推奨するものでもありません。

【参考情報】
・長期業績グラフ

・売上高は2008年頃までが急成長期。その後も2021年までゆっくりと成長。以降は2800億円前後で停滞。
・利益水準に関しては、2005年をピークに長期低落傾向。
※長期業績グラフおよび安定成長スコアの詳しい説明はコチラ

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策) / Please include some Japanese word, otherwise your comment will be ignored.