3176 三洋貿易

※2025年9月決算に基づき、記事内容やスコアなどをアップデート
※他銘柄情報(2025年スクリーニング結果)はコチラ

長期業績グラフ安定成長スコア

※長期業績グラフおよび安定成長スコアの詳しい説明はコチラ

主要指標

株価¥1,5432025/11/28
実績会社予想
配当利回り(※)3.69%3.76%
PER9.63倍10.84倍
CN-PER(※)0.27倍0.31倍
自己資本比率62.9%
NC比率(※)97.2%
※CN-PER:キャッシュニュートラルPER
※NC比率:ネットキャッシュ比率

※PER、CN-PER、NC比率の解説はコチラ

企業概要

企業IRページ(https://www.sanyo-trading.co.jp/ir/)より

同社は、化成品および機械資材を二本柱とする商社です。
1947年、終戦後の財閥解体を受けて旧・三井物産神戸支店の有志によって設立されました。

①セグメント別業績

2025年9月期より以下の4セグメントに再編されました。

ファインケミカル合成ゴム、塗料、インキ、コーティング
インダストリアル・プロダクツあらゆる移動体
サステナビリティ再生可能エネルギー、畜産飼料
ライフサイエンス食品添加物、化粧品、在宅医療、科学機器、バイオテクノロジー
売上高 (百万円)
2024.92025.92026.9
実績実績前期比構成比予想前期比
ファインケミカル42,78442,384△0.9%31.9%44,0003.8%
インダストリアル・プロダクツ36,91436,812△0.3%27.735,000△4.9%
サステナビリティ9,76313,51838.5%10.2%11,500△14.9%
ライフサイエンス38,31138,6700.9%29.1%38,000△1.7%
合計129,263132,7032.7%100%130,000△2.0%
営業利益 (百万円)
2024.92025.92026.9
実績実績前期比構成比予想前期比
ファインケミカル2,7142,413△11.1%37.5%2,70011.9%
インダストリアル・プロダクツ3,3792,682△20.6%41.7%2,500△6.8%
サステナビリティ1,2051,88656.5%29.3%1,100△41.7%
ライフサイエンス1,7321,362△21.4%21.2%1,60017.4%
合計7,0726,430△9.1%100%6,200△3.6%

②地域別売上高

売上高 (百万円)
2024.92025.9
実績実績前期比構成比
日本84,61589,7016.0%67.6%
北米21,42022,1563.4%16.7%
中国7,8676,943△11.7%5.2%
ASEAN10,1639,147△10.0%6.9%
その他5,1964,754△8.5%3.6%
合計129,263132,7032.7%100%

③ 経営計画

現在「長期経営計画(SANYO VISION 2028)」を実行中

三洋モデル
 単なる「モノ売り」ではなく、顧客に寄り添うソリューションプロバイダー

 ● 経営資源
  ‐ 専門知識とノウハウ
  ‐ 1商品1仕入先
  ‐ 10ヵ国16拠点

 ● ビジネスモデル
  ‐ 付加価値サービスを提供
  ‐ (一気通貫に)設計・開発から保守まで顧客の製造をフルサポート
  ‐ 安定した製造をサポートする技術的支援を提供

成長投資へのキャッシュアロケーション
 ●事業投資骨太方針
  ‐ バランスシート … 自己資本比率 50%以上、DEレシオ 0.5倍未満
  ‐ 前提条件 … 事業シナジー、海外展開、成長性を重視
  ‐ 長期保有 … 成長への投資はするが投機はしない
  ‐ オペレーターシップ … Buy&Holdのスタンスで事業のオペレーターシップ(主導権)を取る

 ● 5年間で総額200~300億円の成長投資を予定
  ‐ 事業投資 … M&A骨太方針に合致する案件を厳選
  ‐ DX関連投資 … 効率化、高付加価値化、新たな事業機会獲得のための投資実行
  ‐ 人的資本投資 … 「人のSanyo」のための採用、教育、研修などの人的資本投資実行

財務目標(2028年9月期)
 ‐ ROE 10~12% (2025年9月期 9.3%)
 ‐ 営業利益 90億円 (同 64億円)
 ‐ PBR 1倍超 (2025/11/28現在 0.87倍)

④ 企業理念

企業理念
最適解への挑戦

Mission
 堅実と進取の精神、
 自由闊達な社風のもと、
 柔軟かつ迅速に最適解を提供し、
 国際社会の永続的な発展と
 従業員の幸福を共創する

⑤トップメッセージより

三洋貿易は、1947年の創業以来、堅実と進取の精神のもと、高付加価値の各種原材料や機械機器などの輸入販売を中心に、75年以上にわたり国内外で産業の発展と人々の生活向上に貢献してまいりました。

現在、当社グループでは、「ファインケミカル」「インダストリアル・プロダクツ」「サステナビリティ」「ライフサイエンス」を注力4市場に位置付け、ゴム、化学品、モビリティ第一、モビリティ第二、グリーンテクノロジー、ライフサイエンスの6事業部と国内外グループ会社が市場ニーズに即応した商品を発掘・提供し、取引先から高い評価をいただいております。

わが国を取り巻くビジネス環境は、半導体不足等による自動車をはじめとしたサプライチェーンへの影響に加え、地政学的情勢の激動や物価上昇の加速、為替の急激な変動等、依然として不透明な状況が継続しています。

当社は、このような先行き不透明な状況こそ、知恵を絞り、強みを活かすことで取引先に最適解を提供する好機であると捉えており、長年培った信頼関係と盤石な財務基盤を背景に、外部環境の変化に柔軟かつ迅速に対応してまいります。

この度、当社は新長期経営計画「SANYO VISION2028」を発表しました。 その中核となる経営理念において 、事業環境が倍速モードでめまぐるしく変化し、柔軟で迅速な判断がより一層求められる中、当社が目指すあり姿を「世の中の課題解決に貢献し、人と地球の笑顔をつくる」に定め、内外の三洋貿易グループ各社に公表しました 。

この 実現に向け、収益基盤の強化および企業体質の改善のために具体的な施策を、果敢に、迅速に、そして徹底的にという思いを込めた「DO IT」を社内スローガンに掲げ、有言実行してまいります。さらに、当社の経営理念をステークホルダーの皆様にご理解いただけるよう、コーポレートブランドを刷新しました。新たなロゴは、一歩先をゆく先進性や進取の精神、現状にとどまらない変革への挑戦、そして、人と地球に寄り添い、共により良い未来へ共に歩みを進めたいという思いを表現したものです。

当社は、新たな長期経営計画「SANYO VISION 2028」を推進していくと共に、「Quest for Next」を合言葉に 、全社一丸となって、お客様、社会、環境にとってのより良い未来に向けた最適解を追求し続けてまいります。

社長挨拶より

分析

●長期業績推移
2011年以降、一時的に停滞することはあるものの中期的にみれば業績は右肩上がりで成長しています。ただし、直近2025年9月期は減益、2026年9月期予想は減収減益とブレーキがかかっていることに留意が必要です(その他の視点参照)。
一方で利用可能な決算データが2011年以降でリーマンショック時のデータがないことを割り引いて、安定成長スコアは9点と高評価です。

●主要指標(会社予測)
配当利回り:3.76%、PER 10.84倍、CN-PER 0.31倍と高利回り、割安な水準にあります。自己資本比率:62.9%、NC比率:97.2%と財務健全性は良好です。

●その他の視点
同社としては、PBR1倍割れ(11/28現在 0.87倍)など企業価値に比べ株価が低いことを経営課題していることが経営計画などに表れています。同社の株価については、2017年まで順調に伸びて高値 1,505円を付けましたが、その後は新型コロナショックもあり低迷。この間に当期利益は22%上昇(2017.9実績 3,351百万円 → 2026.9予想 4,100百万円)したにも関わらず直近株価は1,543円と伸び悩んでいます。一般に「商社」というビジネスモデルは海外投資家には理解されにくく、業績の割には株価が低くおさえられていました。2020年にバフェット氏が5大商社の株式を大量に購入するなど「商社」に注目する投資家も現れていますが、中堅商社までは視線がいっていないようです。
今回、同社の開示資料を一通り目を通してみましたが、何を強みとし、どのようなビジネスチャンスがあり、どのように成長させるのか、具体的なところがなかなかつかめません。上記「③経営計画」に私が知りたかったことを抜き出しましたが、てんこ盛りの説明資料の一部であり、またこの部分をもう少し具体的に掘り下げてもらいたかったところです。スローガン的なものも相当な数があり、果たしてどこを目指しているのか、社員には浸透しているのか疑問に思いました。端的にかつストーリー立てて系統的に説明しなければ社内事情に詳しくないステークホルダーには理解できない、というのが一個人投資家としての僭越な感想です。
加えて、直近2025年9月期は減益、2026年9月期予想は減収減益とここにきて業績にブレーキがかかっています。会社説明資料ではその要因について、人材確保のための先行投資やサステナビリティセグメントが端境期にあること等、と説明しています。しかし、セグメント別業績をみると、これまで稼ぎ頭であったインダストリアル・プロダクツ(主に自動車関連)が減収減益となっていることが大きく影響しており、その回復具合が今後の業績を左右するようと考えられます。また、安定成長スコアは9点と前年度と変わらないのですが、小数点以下でみると 9.0点 → 8.7点 と悪化しており、業績が回復しなければ8点以下に下落する可能性も高くなっています。

※当記事は投資の推奨を目的としたものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。
※データの一部は手作成・手入力のため、誤りがある可能性についてお含みおきください。

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