長期トレンドとファンダメンタルズ(2026年)

2026年7月24日

この1か月における日経平均は一時7万2千円台をつけたところから6万3千円まで下落するなど非常に激しい値動きをしています。一方でTOPIXは、ほぼ4,000ポイントで横ばいで推移しており、次の方向性を見定めている最中です。ただし、1年前の日経平均、TOPIXがそれぞれ約4万円、約2,900ポイントであったことと比較すれば、かなり高値な水準にあります。株価が上昇してくると言われ始めるのが、「今の相場はバブルである」ということです。

株価水準がバブルであるか否かは、単に株価が急騰したというだけでは判断できず、企業業績などのファンダメンタルズから上方に乖離しているか否かを分析する必要があります。2024年2025年と2年続けて行ったのが、「TOPIX」とファンダメンタルズとしての「東証プライム市場の企業の利益合計」との比較です。その結果、株価(TOPIX)の上昇はファンダメンタルズ(利益合計)の増加を伴うものであってバブルではない、と結論付けました。

それではこの1年間の株価の急騰はどのようにみるべきか、最新のデータに基づき分析を行いました。
まずは更新したグラフをどうぞ。青線がTOPIX、赤線がTOPIXの24か月移動平均、緑線が東証プライム市場企業の純利益合計です。

全般的な特徴として、以下の三つが挙げられます。
① 純利益(緑線)が階段状に動いているようにみえるのは、日本企業の大半を占める3月決算期のデータが反映する6月に数字が大きく動くため。
② 株価(青線、赤線)と純利益(緑線)の連動性は高い。グラフの左右縦軸の目盛りの通り、ざっくりといって「TOPIX 500ポイント = 純利益 12兆円」の関係。
③ 特に移動平均(赤線)と純利益(緑線)の連動性が高い。そして移動平均が先行し、6月に純利益が追いつくという動きを繰り返している。

なお、最近のTOPIX(青線)の値動きが従来に比べ激しくなっている、ということも見て取れるかもしれません。実はこれは目の錯覚によるところがあります。というのは、例えば同じ10%の値動きであっても、TOPIXが約1,000ポイントであった2013年には100ポイントの変動であるのに対し、約4,000ポイントとなった最近では400ポイントの変動と4倍になっているからです。

この錯覚を防ぐための対策の一つが「対数目盛り」を用いることです。数学的な証明は省きますが、通常の目盛りにおいて縦軸の長さが変動額を表すのに対し、対数目盛りにおいて縦軸の長さは変動率を表します。実際に対数目盛りを適用したグラフを適用すると以下のとおりです。

対数目盛りのグラフによれば、TOPIX(青線)の変動率は全期間を通じてそれほど変わっていないことが見て取れます。

続いて、毎年6月におけるグラフの動きを見ます。黒丸で囲ったところです。

ここから読み取れることは、「多くの年において純利益(緑線)は移動平均(赤線)と同水準まで動いている」ということです。しかし純利益が自社の株価水準に合わせて変動することはありませんので、株価の方が純利益を予想して先回りして動いており、純利益が後からそれを実現していると考えられます。実際に各企業は来期の予想利益や中間・四半期決算という途中経過を公表しているので、投資家が純利益を先回りして予想することは可能です。そしてこのグラフからは、「2013~2026年におけるTOPIXはおおむね純利益合計にしたがって上昇している」ということが読み取れます。この期間においてTOPIXが 4.2倍(2013年1月 940ポイント → 2026年6月 3,995ポイント)になったのに対し、純利益合計額は 4.7倍(同 14兆円 → 66兆円)となっています。すなわち先の見解を言い換えれば「2013~2026年の13年間におけるTOPIXの上昇は、ファンダメンタルズ(純利益)の改善に伴うものであり、バブルとはいえない」ということになります。

以上が全体的な分析で、ここから今年2026年の動きを見ます。
2026年6月における純利益合計は約66.0兆円でした。2025年6月が約61.3兆円でしたので、約7.7%の増益です。トランプ関税や中東情勢悪化などが懸念されていましたが、各企業は業績拡大を成し遂げました。一方で、TOPIXは同期間に2,853ポイントから3,995ポイントへと約40.0%上昇、24か月移動平均は2,627ポイントから3,113ポイントへと約18.5%上昇しており、純利益増益率を大きく上回っています。上のグラフを見ても、純利益(緑線)は増加したものの、株価(青線、赤線)はその上をいっています。AI相場の影響もあり、日経平均ほどではありませんがTOPIXもやや過熱気味とみることもできます。

さて、詳しい人であれば「株価」と「純利益」の比較は、要は「PER(=株価 ÷ 1株当り純利益)」と同様と気が付かれたと思います。ここ13年間の株価の上昇が純利益の増額に支えられていることを示すために上記のような分析をしましたが、株式市場の過熱感はPERの推移によってみることもできます(PERが高いほど、純利益に比して株価は割高・過熱)。
上記のグラフにPER推移を追加してみました。

アベノミクス相場が始まった2013年、新型コロナショックからの回復期待が高まった2021年を除いて、PERはおおむね 15~20倍のレンジで推移していることが見てとれます。
直近2026年6月においては 20.4倍。通常のレンジをややはみ出ており、やはり少々過熱気味ということができます。

今はバブルというにはまだ早すぎです。しかし、今後もし純利益の成長率を超えて株価が上昇し始めれば(PERが20倍を超えて上昇し始めれば)、いよいよバブルが始まったと考えられます。AI普及、金利高、インフレ、雇用市場逼迫、不安定な国際関係といった要素が、純利益と株価にどのような影響を与えるのか注視が必要です。

結論

・2013~2026年の13年間におけるTOPIXの上昇は、ファンダメンタルズ(純利益)の改善に伴うものであり、バブルとはいえない
・直近2026年6月において、TOPIXはやや過熱気味
・今後PERが20倍を超えて上昇し始めれば、バブルが始まったと考えられる

※当記事は、筆者独自の見解を示すものであり、特定の投資判断を推奨するものではありません。

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