4540 ツムラ

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長期業績グラフ安定成長スコア

※長期業績グラフおよび安定成長スコアの詳しい説明はコチラ

主要指標

株価¥3,3462025/6/17
実績会社予想
配当利回り(※)4.06%4.06%
PER7.86倍11.04倍
CN-PER(※)2.69倍3.79倍
自己資本比率64.7%
NC比率(※)65.7%
※CN-PER:キャッシュニュートラルPER
※NC比率:ネットキャッシュ比率

※PER、CN-PER、NC比率の解説はコチラ

企業概要

企業IRページ(https://www.tsumura.co.jp/ir/)より

同社は、医療用漢方薬で国内シェア8割超を占める医薬品会社です。

①セグメント別・地域別業績

同社の決算説明会資料では、国内事業・中国事業の2事業別の業績を公表しています。

売上高 (百万円)
2024.32025.32026.3
実績実績前期比構成比予想前期比
国内132,099160,45921.5%88.6%167,9004.6%
中国18,74520,63310.1%11.4%20,100△2.6%
合計150,845181,09320.1%100%188,0003.8%
営業利益 (百万円)
2024.32025.32026.3
実績実績前期比構成比予想前期比
国内20,53140,13695.5%100.0%34,700△13.5%
中国△514△10-△0.0%△500-
合計20,01740,12594.1%100%34,200△14.8%

② 経営計画

● グループビジョン
 2031年度に向け実現するべき姿として「TSUMURA VISION ”Cho-WA” 2031」を設定。

1. 診療領域基本処方すべてを処方する医師を50%
2. 漢方標準治療の拡大と漢方治療の個別化
3. 未病の科学化
4. 中国事業の基盤構築
5. 漢方バリューチェーンのDX化
6. パーパス経営・理念経営・ビジョン経営の実践

● 経営計画
 今年度より「第2期中期経営計画(2025-2027年度)」を開始

数値目標
‐ 売上高 2,340億円(うち国内 1,840億円、中国 500億円)
‐ 営業利益 430億円(うち国内 390億円、中国 40億円)
‐ ROE 8%

戦略課題
(1) 漢方の標準治療の拡大と個別化治療の推進による漢方市場のさらなる成長
(2) KAMPOmicsによる新たな価値の創造、エビデンスに基づいた「未病三防」の市場展開と漢方のグローバル化への挑戦
(3) 中国における中成薬事業への参入、飲片の付加価値サービスの展開と中薬研究開発体制の確立
(4) 最高の顧客体験価値の創造を目的とした漢方バリューチェーンのDX化による安定供給・ローコストオペレーション体制の確立と製品価値の向上
(5) ビジョン実現に資する人的資本の充足と漢方薬的組織の開発推進による組織・人的資本価値の向上

③ 企業理念

● プリンシプル … 順天の精神
 いついかなる時も・天地自然の理法に順って事業を行うという覚悟をあらわした、事業を行う上でのバックボーンです。
 この順天の精神を屋号に託し、津村順天堂は創業しました。
 私たちツムラは、今なお、順天の精神に則り、天地自然の理法に逆らわず事業を行うという精神を受け継いでいます。

● パーパス … 一人ひとりの、生きるに、活きる。
 ツムラが規定するパーパスとは、50年先、100年先を見据え、究極的に成し遂げようとする事業の「志」です。 いつの時代も大切な誰かを思うように、「個」の心と身体の変化に目を向け、人生のあらゆるステージに寄り添うことで、自然の叡智を科学することで、一人ひとりのすこやかな日々の力となっていきます。

● 経営理念 … 自然と健康を科学する
 私たちの経営理念である「自然と健康を科学する」は、ツムラグループが追い求めていく、不変の基本的な価値観です。
そこには、漢方の作用機序を解明し、科学的根拠(エビデンス)に基づいた漢方治療により患者さまの病気治療に貢献するという強い思いが込められています。

● 企業使命 … 漢方医学と西洋医学の融合により世界で類のない最高の医療提供に貢献します
 ツムラは、日本において漢方製剤が治療の選択肢として地位を確立するために、西洋医学というフィールドで漢方製剤のエビデンス構築に取り組んできました。この企業使命には、病気の治療に西も東もない。両方の医学で患者さまの病気を治せる医療に貢献したいという思いが込められています。

④トップメッセージ

目指すべき未来社会は、多様な想像力や創造力を発揮して、人と自然が共生でき、社会を共に創造していく、人間中心の「創造社会」であると提唱されています。医療の分野においても、一人ひとりに合った治療を目指す「個別化医療」が求められています。
漢方医学は、人間が本来もっている「自然に治癒する力」を高め、症状の改善を促し、心と身体を一体として捉えて心身のバランスを整える「個の医学」と言われています。
ツムラグループは、『一人ひとりの、生きるに、活きる。』をパーパスとして制定し、「人生のあらゆるステージに寄り添うことで。自然の叡智を科学することで。一人ひとりのすこやかな日々の力となる。」ことを究極的に成し遂げる『事業の志』としました。
2031年度に向けたグループビジョン『TSUMURA VISION “Cho-WA” 2031』を策定し、2031年度に実現すべき状態は、一人ひとりのライフステージ、症状、遺伝体質、生活環境等に合わせて、漢方薬・中薬をはじめとした製商品・サービスをエビデンスベースで提供することにより、人々のWell-beingに貢献している「Personalized Health Care (PHC)」です。
同時に、自然と共に生き、自然の恵みを「一人ひとりの生きる力」とすることを、未来へつなげていく決意として、サステナビリティビジョン『自然と生きる力を、未来へ。』を掲げ、ターゲット2031を策定し、自然環境保全への取り組みをさらに加速します。ツムラグループは、これからも理念に基づく経営を実践し、事業を通じて社会や人々へ貢献することで、企業価値の向上を目指してまいります。

CEOメッセージより

分析

●長期業績推移
2000年前後、同社は倒産の危機に瀕していました。原因は、創業者一族社長による放漫経営と自社製品の重篤な副作用問題です。その後、経営を刷新し、医療用漢方薬に集中したことが功を奏し、業績は大きく回復しました。今では医療用漢方薬でシェア8割を占めるまでに至っています。漢方薬市場は新規参入が難しいことや新薬開発コストがかからないことから同社は高い売上高利益率を達成しています。
このような業績を反映し、安定成長スコアは9点と高評価です。ただし、以下の「留意点など」をご覧ください。

●主要指標(会社予測)
配当利回り:4.06%、PER 11.04倍、CN-PER 3.79倍と高利回り、割安な水準にあります。自己資本比率:64.7%、NC比率:65.7%と財務健全性に特段の問題はありません

●留意点など
同社の今後の成長ドライバーは大きく3点、①国内における医療用漢方薬のさらなる浸透、②新工場稼働による製造の効率化、③中国市場への参入、です。このうち①はローリスクですし、②は当初減価償却負担が発生するものの中長期的には利益率の改善につながるでしょう。問題は③です。漢方薬の本場・中国への参入はそう簡単にはいかないものと想定されます。リスクをとって成長を図るというのは企業として正当な行為ではありますが、配当狙い投資において最も重視すべき「安定的な成長性」という観点からは割り引いて評価したほうが良いと考えます。

留意点に記載したようなリスクが存在するのであればそれをスコアに反映できないのか、という意見があるかもしれません。しかし、スコアリングモデルを含む統計的なモデルは過去のデータに基づいた定量的な評価を行うものであり、いまだ発生したことのない新種のリスクイベントや経営方針の変更といった定性的な要素の評価をするのを苦手とします。これらの要素を無理にモデルへ反映しようとしても、そこにはモデル作成者の恣意性が入り込んでしまいます。よって、統計モデルはあくまでデータから過去の傾向を読み取るためのツールであり、それ以外の要素は投資家の判断により補完すべきものとした方がよいと考えます。視点を変えれば、株式投資にはデータだけではわからない生の企業活動を相手する、という面白みがあります。

※当記事は投資の推奨を目的としたものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。
※データの一部は手作成・手入力のため、誤りがある可能性についてお含みおきください。

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