4540 ツムラ
●医療用漢方薬で国内シェア8割超を占める医薬品会社、中国事業にも注力
●医療用漢方薬の浸透とともに業績は拡大中



●業績:2000年前後、同社は倒産の危機に瀕していました。原因は、創業者一族社長による放漫経営と自社製品の重篤な副作用問題です。その後、経営を刷新し、医療用漢方薬に集中したことが功を奏し、業績は大きく回復。今では医療用漢方薬でシェア8割を占めるまでに至っています。また漢方薬市場は新規参入が難しいことや新薬開発コストがかからないことから同社は高い売上高利益率を達成。なお、直近2026年3月期は在庫積み増しや中国企業の連結化の影響により減益。
●分析:同社の今後の成長ドライバーは大きく3点、①国内における医療用漢方薬のさらなる浸透、②新工場稼働による製造の効率化、③中国市場への参入、です。このうち①はローリスクですが成長余地は限定的。②は当初減価償却負担が発生するものの中長期的には利益率の改善につながります。ただし、中期経営計画において3年間で生産能力増強に1,450億円投資予定に対し、有利子負債による調達が1,250億円と大きな金額であることに留意が必要です。そして評価が難しいのが③です。漢方薬の本場・中国への参入はそう簡単にはいかないものと想定されます。リスクをとって成長を図るというのは企業として正当な行為ではありますが、配当狙い投資において最も重視すべき「安定的な成長性」という観点からは割り引いて評価したほうが良いと考えます。
同社の経営理念・長期ビジョン・中期経営計画は強く関係づけられています。また、経営計画は詳細に練りこまれています。特に人的資本価値の向上について、他社は個人レベルの能力・モチベーション向上に留まっているのに対し、同社では企業文化の醸成(理念浸透・コーチング・チームビルディング)まで踏み込んでいるのは素晴らしいです。
株価は、2017年6月に高値 4,745円をつけてから2020年3月までに 2,189円まで下落。その後2023年まで低迷するものの、2024年に急騰(始値 2,655円 → 終値 4,708円)。それから2025年・26年は緩やかな下落傾向で、直近は 3,850円です。
・長期業績グラフや安定成長スコアについて詳しくはコチラ
・同社を含む2026年スクリーニング企業の一覧はコチラ
※当記事は投資の推奨を目的としたものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。
※データの一部は手作成・手入力のため、誤りがある可能性についてお含みおきください。
➢ 参考情報
●リンク先
・同社公式IRページ
・最新の株価(Yahooファイナンス)
●同社株への筆者の投資方針(本記事作成日現在)
・保有有無:なし
・投資方針:慎重な新規投資を検討中(経営理念や計画がしっかりしていることは好感。ただし、中国事業や有利子負債増加のリスクを鑑みて、まずは少額の投資を検討中)
●定性評価(試行中、詳しくはコチラ)
| 非財務評価基準 | 評価結果 | |
| ◎経営理念・トップメッセージ | ||
| その企業ならではの理念(世界観・価値観・倫理観)が語られているか。 | プリンシプルから基本基調まで様々な理念が並んでいますが、一つを挙げれば「自然と健康を科学する」 | |
| ◎IR | ||
| IRの内容は充実しているか。検索・閲覧をしやすいレイアウトとなっているか。 | 一通りそろっている。 Pick Upで個人投資家の興味のありそうな資料をまとめているのはよい | |
| 事業内容が、一般個人にも分かりやすく説明されているか。その企業ならではの魅力・沿革が紹介されているか。 | 「ツムラってどんな会社」にまとめられています。特に7つの強みは分かりやすい | |
| ◎中期経営計画 | ||
| 過去の振り返りがなされているか。特に未達項目について十分な検証と改善策策定がなされているか。 | 9ページにわたり、数値目標及び戦略課題の振返り。 戦略課題一つ一つに振り返りをしているのはとてもよい。 | |
| 成長戦略(新規事業)は経営理念にひもづけされているか。 | 経営理念と長期ビジョンは強力に紐づけされています。ただし中国事業をどのように評価するのか難しいところです。 | |
| 成長戦略(新規事業、海外事業)について、期待リターン、投入資金、リスクとその軽減策が明示されているか。 | (中計見直し後)3年間で生産能力増強1,450億円、資本業務提携350億円+α。資金調達減のうち1,250億円が有利子負債。 | |
| 内部統制や人事施策など社内体制に係る計画が策定されているか。 | 人的資本価値の向上として、個々人のレベルにとどまらず、企業文化の醸成として理念浸透・コーチング・チームビルディングまで踏み込んでいるのは素晴らしい | |
| 多様性(ジェンダー、国籍など)に関する施策が策定されているか。 | 人的資本価値向上の一環として、「経営理念を支える多様性に富んだグローバル経営人財の輩出を推進」 | |
| ◎KPI | ||
| 従業員のモチベーションに関するKPIが設定されているか。 | 女性管理職比率、育休取得率・取得期間に目標値。また目標値は不明だが、理念浸透サーベイやエンゲージメントアンケートの結果を公開。 | |
| 経営理念や経営戦略につながるKPIが設定されているか。 | KPIと明示されていないが、戦略課題に対し「医療用漢方製剤販売数量(箱数)」「中国事業・生薬PF(売上)」の目標を定めている | |
| 財務評価基準 | 評価結果 | |
| ◎決算分析(決算短信、有価証券報告書、決算説明会資料) | ||
| 利益に関する前期対比の変動要因分析がなされているか。 | 営業利益、キャッシュに関する詳細な増減要因分析が行われている | |
| 業績悪化の場合、その原因が具体的に分析されているか。また外部要因だけでなく内部要因にも言及されているか。 | 国内事業の未達要因に関し、分析を行っている | |
| 特定のセグメントに業績が偏っていないか。 | 漢方薬・中薬100%。ただし、国内処方別売上高の比率で10%以上の製品はない。中国事業16%。 | |

